トライアングル・ワン

1

 視線の先には、左右に立っている住宅街の外壁しかない。

 肩に掛けた鞄からスマホを取り出し、〈いまどこ?〉とメッセを打った。

 五分程経っても返事は返って来ない。
 
 どうしたんだろう? と思い、もう少し待ってみたが、やってくる気配は無い。

 〈先行ってるね〉とメッセを打って学校へ向かった。風が吹くと太腿が寒い。


 登校してきた生徒達に紛れ廊下を歩いて行くと、教室の入口の少し前に美香の後姿が見えた。

 あの少し茶色がかったポニーテールは間違いない、隣には黒いロングヘアーの麻衣子がいる。

 足早に二人の元へ駆け寄った。

 「おはよう」と後ろから声をかけると、美香はわたしの顔を見るなり怪訝な表情をした。

 あれ? と思うと、二人は黙って振り返り、教室へ入っていった。

 二人を視線で追っていくと、美香が自分の席の椅子に座り、麻衣子は横に立って談笑し始めた。
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