大切なひと~強引ドクターは最愛の人をあきらめない~
出会い


青色といえば単純に聞こえるが、けっこう違いがある。

水色に近いものから緑色に近いものまで種類は多いし、色を文字で表現しても紺だの藍だの様々だ。
気分を爽やかにしてくれる青もあれば、心を寒々と凍らせるような青だってある。
それに夏の明け方の空と、春の霞たなびく空ではまったく別の青空だ。

どれも心に残る青色だが、坂野燈生(ばんのとうせい)が一番好きなのは、ロサンゼルスの空の色だ。

海が近いあたりでは地中海を思わせる気候だし、夏は湿度が低くて比較的過ごしやすい。
だから空の色にも爽やかさを感じるのだろう。
ロスの空のどこまでも突き抜けていくような青は、失敗して落ち込んだときに燈生の心を支えてくれた。
二十四の年から新人医師として研修をつんだ場所だから、特に思い入れが深いのかもしれない。


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