大切なひと~強引ドクターは最愛の人をあきらめない~
塞がれていた唇が離れた途端、燈生に抱き上げられた。
彼が向かったのは、寝室だった。
「君を今すぐ抱きたい。いいか?」
「はい」
壁際にあるベッドに下ろされると、燈生が覆いかぶさってきた。
「ずっと触れたかった」
優しく頬に触れられ、その手は次第に下りていく。
首筋を撫でられ、そっと胸にたどりつく。
「プロポーズするまで、君を抱けなかった。きちんと約束するまで、抱いてはいけないと思っていたんだ」
生真面目な燈生は、明日香にプロポーズを受ける返事をもらうまでは我慢していたという。
改めて彼の誠実さに触れて、大切に思ってくれていることが嬉しかった。
「明日香、好きだ」
「……私も、私も好きです」
燈生が明日香のセーターを脱がせて、素肌に触れ始めた。
指先から伝わってくる、明日香をいたわるような動きに思わず肩を窄めた。
それは知らない世界に踏み込む怖さというより、昨日まで知らなかったことへの憧れかもしれない。
敏感になった皮膚にあてられる唇の柔らかさや、チュッと吸いつくようなキスの心地よい痛み。
これまで気付くことのなかったすべての感覚に、明日香はたじろいだ。
だが、自分に触れているのは燈生だ。ほかの誰でもない、大好きな人。
彼は明日香の羞恥心をゆっくり丁寧に剝がしていく。
そんな甘くてとろけるような行為に、いつしかのめり込んでいった。