私を処刑したら、困るのは殿下ですが……本当によろしいのですか?【コミカライズ進行中】
1 私を処刑する……?
「ソフィア・シェルハント! 宮廷薬剤師であるお前を、王族殺害未遂で処刑する!!」
「……はい?」
いつものように朝の薬湯を持ってアーサー王子の部屋を訪れたソフィアは、ベッドの上で半裸状態の王子にそう告げられた。
シャツを羽織っただけの王子の隣には、薄着の男爵令嬢がクスクスと笑いながらこちらを見ている。
男性の使用人や騎士の多くいるこの部屋の中で、よくそのような格好のまま堂々としていられるものだとソフィアは驚いた。
しかし、そんなことに驚いている場合ではないだろう。
今、自分は処刑すると言われてしまったのだから。
「アーサー殿下。失礼ですが、王族殺害未遂とはどういう……」
「はっ! 今その手に毒を持っておきながら、よくも知らないフリをしようと思ったな! なんて浅ましい女だ」
「毒?」
そう言われ、ソフィアは自分が持っている薬湯を見た。
緑色のドロドロとした液体。草の匂いがきつく、確かに見た目も味も毒薬にしか見えない。
毎朝、王子はこれを飲み干すたびにその美しく整った顔をひどく歪ませていた。
(薬湯を毒のようだと言いたいお気持ちはわかるけど、まさか本当に毒だと思っているわけではないわよね?)
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