私を処刑したら、困るのは殿下ですが……本当によろしいのですか?【コミカライズ進行中】
(不思議な方ね。気持ちが軽くなったわ)
「ありがとうございます。その小鍋は、私の先生から頂いた物なのです。……ですが、それで怪我をされては先生も喜びませんわ。手で触れるのはもう……」
「もう終わりました」
「!」
そう言われて床を見ると、大きな破片は綺麗に片付けられていた。
地下牢にあった空いた木箱に入れてくれたらしく、ソフィアの牢の近くに置かれている。
いつの間に!? と驚くと共に、ソフィアはテオドール卿が毎日怪我をしていることを思い出した。
「テオドール卿! お怪我は? 手は無事ですか?」
「はい」
証拠だとでも言うように、テオドール卿は手のひらを広げて見せてくる。
そこには切り傷1つなかった。
(あら? あんなにすぐ傷を作る方なのに、これだけの破片を触って無傷だなんて……)