私を処刑したら、困るのは殿下ですが……本当によろしいのですか?【コミカライズ進行中】
アーサー殿下は一瞬言葉に詰まったが、すぐにハッとしてまたソフィアを責め始めた。
まるで今の状態が嘘だと言ってほしいように見える。
「だ、だが、なぜそれを教えなかった!? なぜずっと隠していたんだ!?」
「……アーサー殿下の暴走を止めるためでございます」
「俺の暴走?」
「はい。殿下は、その姿を見た使用人を全員処刑してしまったのです。私や室長は薬を作っていたため助かりましたが、それ以外の方は全員。その後記憶をなくした殿下は非常に落ち着いておられましたので、このまま黙っていようと陛下が命令されました」
「…………」
ソフィアの言葉を聞いて、アーサー殿下もエイリーンも周りにいる使用人たちも、口を開けたまま唖然としている。
誰も動かない静かな空間を破ったのは、またもアーサー王子だ。
「いや。そんなはずはない。この姿が本当の俺などと……。毒……そうだ! 毒だ! お前の作った毒のせいで、俺はこんな姿になったんだ!」
少し半笑い状態のアーサー王子が、ビシッとソフィアを指差す。
そういう結論を出されると予想していたソフィアは、チラリと扉に視線を向けた。
ピッタリのタイミングで、小瓶を持ったテオドール卿と数人の研究員が部屋に入ってくる。