私を処刑したら、困るのは殿下ですが……本当によろしいのですか?【コミカライズ進行中】
処刑を命じられた直後だとは思えないくらい落ち着いた様子のソフィアは、首を傾げながら王子に問いかけた。
「殿下。こちらは、殿下が3年も前からずっと飲まれている薬湯でございます」
「それがおかしいのだ! 俺の体はどこも悪くないというのに、なぜ毎日苦い薬を飲まなければいけない!? お前が故意に飲ませているのだろう!!」
「……お薬を飲まれているから、症状が出ていないだけでございます。それに、こちらは私の意思ではなく陛下からの……」
「もういい!! 全てエイリーンから聞いているのだ! お前が嫉妬からエイリーンを虐めていることまで全部な!」
「嫉妬? 虐め?」
エイリーンとは、王子の隣にいる令嬢のことなのだろう。
男爵令嬢であることは王宮内の噂で知っていたが、名前まで知らなかったソフィアは目を丸くして彼女を見た。
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていたエイリーンは、自分の名前が出た途端に態度を豹変させ、甘えるように王子の腕にしがみついた。
目には涙が滲んでいて、気弱な女性を演じているように見える。