私を処刑したら、困るのは殿下ですが……本当によろしいのですか?【コミカライズ進行中】
「それで、あの……また怪我をしたら、救護室に行ってもいいですか?」
「!」
自分に会うためにわざと怪我をしていたと言っていた話を思い出し、ソフィアの頬がほんのりと赤くなる。
ざわつく胸をくすぐったく感じながら、ソフィアはニコッと微笑みかけた。
「ええ。もちろんです。ですが、わざと自分を傷つけないでください。それは禁止です」
「えっ。ですが、そうでもしないと俺はあまり怪我をすることが……」
「怪我をしていないときは、直接私に会いにきてください……というのはダメですか?」
「!!」
無表情のテオドール卿の顔がボッと赤くなったのを見て、ソフィアは思わずフッと吹き出してしまった。
(まあ。なんて可愛いのかしら)
「も、もちろんダメではないです」
「ふふっ。では、いつでもお待ちしてますね」
これからも殿下の薬作りの研究が続いたりと、バタバタする日々が待っているだろう。
またも殿下が暴走することもあるかもしれない。
そんな中でも心を癒してくれることがあるのなら、いくらでもがんばれる。
ソフィアは王子の部屋を振り返ることなく、真っ直ぐに前に歩き続けた。