私を処刑したら、困るのは殿下ですが……本当によろしいのですか?【コミカライズ進行中】
(まぁ、大変! 幻覚だけではなく、妄想癖まであるみたいだわ。私が殿下に心を寄せているなど、ありえませんのに。でも、ここでそのようなことを言っては不敬罪になってしまうでしょうか? 困りましたね……)
どんなに責めても動揺せずにポカンとしているソフィアを見て、王子は限界がきたらしい。
バッと片手を前に出し、大きな声で叫んだ。
「その女を捕らえよ!!」
その瞬間、ソフィアは近くにいた騎士に腕を押さえつけられてしまった。
持っていた薬湯が床に落ちて、緑色の液体が飛び散る。
微かに匂っていた苦草の香りが部屋全体に漂い、全員が「うっ」と顔を歪ませた。
「この匂いは、確かに人が飲めたものではない」
「これが毒というのも頷けるな」
そんな声がソフィアの耳に届く。
薬湯とは、そもそも苦いものなのですよ……と言いたいのを我慢して、ソフィアはおとなしく騎士に連行されて牢獄に入った。