私を処刑したら、困るのは殿下ですが……本当によろしいのですか?【コミカライズ進行中】
2 投獄されてしまいました
一応ソフィアが侯爵令嬢であることと毒の確認がされていないことから、貴族用の多少は綺麗な牢屋である。
もしも本格的に王族殺害未遂として扱われたなら、ネズミや虫と一緒に泥に塗れた暮らしになっていたであろう。
ソフィアは質素なベッドに腰をかけ、ふぅ……と小さくため息をついた。
「……さて。どうしましょう? 本日のお薬は飲まれなかったし、もしこのまま何日も監禁されてしまったら殿下は……」
アーサー王子の抱える病は、実は王宮でも知っている者が少ない。
なにせ本人ですら知らないのだ。
陛下がこの事態を知ればすぐに対処してくれるだろうが、今は隣国の祝祭に出かけてしまっている。
帰ってくる頃には、王子の病は発症しているだろう。
(事情を知っている室長から、あれは毒ではないという証明がされればいいのですが……。もしも結果までに3日以上経ってしまったら、発症は確実だわ。それに、突然数日間のお休みになってしまいそうですが、救護室のほうは大丈夫でしょうか……)