私を処刑したら、困るのは殿下ですが……本当によろしいのですか?【コミカライズ進行中】
「私は大丈夫です。室長に確認していただければ誤解はすぐに解けるでしょうし、特に問題はありませんわ。それより、菌が入る前に早く手当てをしなくては」
「これくらいの傷、放っておいても平気です」
テオドール卿はそう言うなり、先ほどまで兵士が立っていた場所に同じように立った。
そんな彼の言動は、ソフィアには不可解なものばかりである。
(侯爵家出身の騎士であるテオドール卿が、地下牢の見張りを? それに、いつもはもっと小さな傷でも救護室にいらっしゃる方なのに、傷を放っておく?)
万が一化膿しては困ると、しっかりと手当てを受けていたテオドール卿の姿が浮かび、今の彼との矛盾にソフィアは首を傾げた。
それでも本人が平気と言っているならば、強制させるものでもないだろう。
「わかりました。ですが、また怪我をされた際には救護室でしっかり手当てを受けてくださいね」
「あなたが地下牢にいる限り、怪我をすることはないでしょう」
「……?」
テオドール卿の言葉にソフィアは再度頭を悩ませたが、彼は地下牢の入口を睨みながら黙り込んでしまったので、そのまま何も聞かないことにした。