あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
(俺の力だけではないものが、琴禰にはある。人間界では祓魔というあやかしに似た力を持つ一族がいると聞いたことがあるが、琴禰はその出身なのか? でも、そうだとしても琴禰の力は強すぎる。末端のあやかしや妖魔なら祓えるほどの潜在能力を有している。まだ力が戻りきっていないということは、琴禰はどれほどの力があるのか、俺でも探り切れない)

 琴禰を抱きしめながら、初めて出会った日のことを思い出す。

 初めてあやかしの国に足を踏み入れることができた人間。

 どう考えても訳ありだ。

(琴禰は、一体……)

 一抹の不安を抱きながらも、琴禰を愛する気持ちに変わりはない。

(俺がお前を守るから)

 全てに絶望し、死に絶えようとしていた琴禰の瞳を思い出すと、胸が痛くなる。

 どれほどの痛みを抱えているのか。

 何も知らなくても、あの目を見れば推察できる。

(絶対に、幸せにする)

 煉魁は琴禰の顔を上げさせると、唇を重ねた。

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