あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
(結婚の日取りを大巫女様に決めてもらうなんて。どれだけお金を積んだのかしら)
それだけ桃子と澄八の結婚が、家の繁栄に重要とみなされているということだろう。
大巫女様が来るならば、琴禰の存在を隠しておきたい気持ちもわかる。無能が灰神楽家から出たなんて縁起が悪い。
(これは絶対に隠れ続けていなければならないわね)
琴禰は膝を抱えてうずくまった。
大巫女様がいつ帰るのかわからないけれど、たとえ夜中になって暗闇の中冷え込んだ山の中にいることになっても姿を現すわけにはいかない。
もしも大巫女様と鉢合わせてしまったら、間違いなく殴られて折檻部屋行きだ。もしかしたら数日出てこられなくなるかもしれない。
(どうして私だけ無能なのだろう)
幾度も抱いた疑問を、再び巡らす。考えても詮無いことなのに、どうしてもこの問いに打ち当たる。
何かをしていれば気を紛らわすこともできるが、こうして暇な時間を消費するしかない時は思考から逃げる術がない。
それだけ桃子と澄八の結婚が、家の繁栄に重要とみなされているということだろう。
大巫女様が来るならば、琴禰の存在を隠しておきたい気持ちもわかる。無能が灰神楽家から出たなんて縁起が悪い。
(これは絶対に隠れ続けていなければならないわね)
琴禰は膝を抱えてうずくまった。
大巫女様がいつ帰るのかわからないけれど、たとえ夜中になって暗闇の中冷え込んだ山の中にいることになっても姿を現すわけにはいかない。
もしも大巫女様と鉢合わせてしまったら、間違いなく殴られて折檻部屋行きだ。もしかしたら数日出てこられなくなるかもしれない。
(どうして私だけ無能なのだろう)
幾度も抱いた疑問を、再び巡らす。考えても詮無いことなのに、どうしてもこの問いに打ち当たる。
何かをしていれば気を紛らわすこともできるが、こうして暇な時間を消費するしかない時は思考から逃げる術がない。