あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
 全てを吐き出して、謝りたい。もう嘘なんかつきたくない。

「うっうっ……」

 煉魁の胸の中で嗚咽を漏らしながら泣いた。

 ずっと堪えてきたものを吐き出すように。

 煉魁を強く抱きしめる。

(離したくない。この方とずっと一緒にいたい)

 例えそれが、地獄に落ちる行為だとしても。

 例えそれが、多くの人を裏切る結果になったとしても。

「煉魁さまぁ」

「うん、俺はずっと側にいるよ」

 煉魁の胸にしがみつき、子供のように泣く琴禰の頭を優しく撫で続けた。
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