あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
思わず叫びそうになった。
茶々は子猫を守るために威嚇しているのだが、そんなことは知らない介添えの方は、大巫女様を守るために、茶々を「シッシッ」と手で追い払おうとした。
何事かと思ったのか急いで外に出てきたのは父親だった。薄汚い猫が大巫女様を威嚇しているのを見た父親は、顔を真っ赤にさせて怒りのまま茶々を蹴り上げた。
悲痛な一鳴きが耳に届くと、考えるよりも先に体が動いていた。
大巫女様の前に姿を見せてはいけないと言われていたのに、気が付いたら駆け出していた。
けれど、大きく一歩を踏み出したところで、体が止まった。声を上げることも、指先一つ動かすこともできない。
不自然な体勢のまま、石のように固まったのである。
その姿勢のまま目が合ったのは母親だった。
玄関から出てきた母親は、琴禰が駆け出してくるのを見つけ、体を硬直させたのだ。
母親は指に印を結び、鬼のような形相で、静かに琴禰を睨み付けていた。
茶々は子猫を守るために威嚇しているのだが、そんなことは知らない介添えの方は、大巫女様を守るために、茶々を「シッシッ」と手で追い払おうとした。
何事かと思ったのか急いで外に出てきたのは父親だった。薄汚い猫が大巫女様を威嚇しているのを見た父親は、顔を真っ赤にさせて怒りのまま茶々を蹴り上げた。
悲痛な一鳴きが耳に届くと、考えるよりも先に体が動いていた。
大巫女様の前に姿を見せてはいけないと言われていたのに、気が付いたら駆け出していた。
けれど、大きく一歩を踏み出したところで、体が止まった。声を上げることも、指先一つ動かすこともできない。
不自然な体勢のまま、石のように固まったのである。
その姿勢のまま目が合ったのは母親だった。
玄関から出てきた母親は、琴禰が駆け出してくるのを見つけ、体を硬直させたのだ。
母親は指に印を結び、鬼のような形相で、静かに琴禰を睨み付けていた。