あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
「もう体は大丈夫なのか?」

「はい。ご心配お掛けしました」

「いや、元気ならいいのだ……」

 気のせいか、煉魁の方こそ元気がないように見える。

 不自然に空いた距離。けれど、そちらの方が、都合が良かった。

 琴禰は手の平から血が出そうになるくらい強く拳を握った。大きく深呼吸をして、吐き出す。

「お話があります、あやかし王」

 いつものように名前ではなく、あやかし王と距離を取られたような呼び名で言われた煉魁は、訝しそうに琴禰を見る。

「なんだ?」

 煉魁の声はいつもより低かった。

「私と離縁してください」
 
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