あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
「どうしてそれを?」

 煉魁は座り込んでいる琴禰を、そっと包み込むように抱きしめた。

「人間界に行って、全てを聞いてきた。契約の発動には術式が必要となる。おそらく澄八は手を使って術を使うのだろう。澄八は手を骨折して術が使えなくなっていた。だが念のため、体を動かせないようにしてきたから、あいつは一生術を使えない」

 琴禰は煉魁の胸の中で、何度も瞬きをした。

 確かに澄八は、というか祓魔師たちは術式を行うときに、指に印を結んで構える。式神など高度な術式は、白紙などを用いる必要がある。

 琴禰は力が強いので、あやかしのように術式を用いなくても力を使うこともできるが、それは異能だからだ。

 術を使わずに車を持ち上げることができ、祓魔の力では考えられないことをやってしまったから排除された。

 血の契約を発動させるという大きな力が必要な時は、澄八の力では術式を用いず発動させるのは無理だろう。
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