あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される

死が二人を分かつまで

……ドクン。

 大きく心臓が動いたと同時に、全身の血流が(はげ)しく荒れた。

 琴禰は煉魁の横で眠りについていた。

 もう何も心配がなくなり、安心して深い眠りに入っていたところだった。

 それは煉魁も同じだった。疲れ切っていた二人は、寝台の中で身を寄せ合いながら穏やかな寝息をたてていたのである。

(血の契約が発動された)

 それはすなわち、琴禰の死と同時に周りの者たちに甚大な被害を与えるということだ。

(爆発する)

 頭は起きてはいるものの、体はまだ眠ったままだった。目も開いていないし、指先一つ動いてはいない。ゆえに、煉魁も気付くことはできず、まだ眠ったままだった。

 全身の血がふつふつと沸騰するように跳ねている。それに伴い、眠っていた力が溢れだす。

(駄目、抑えられない)

 だんだんと息が苦しくなる。考えている暇はない。

(煉魁様を、あやかしの国を守らなければ)
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