あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
「帰るって、力はもう戻っているのですか?」

 琴禰は暴発で力を使い果たしてしまったし、力が蘇りそうな気配すらない。

 煉魁は立ち上がったものの、「う~ん」と言って、腰に手を当て、空を仰ぎ見た。

「力を補給しなくては。だが、幸いなことに、すぐ側に俺の力の源がある」

 煉魁はニヤリと微笑んだ。

 不思議そうなキョトンとした顔で見上げていると、煉魁が琴禰を抱き上げ、唇を重ねた。

「んんっ!」

 唇を奪われ、驚く琴禰に構わず、煉魁は何度も角度を変えて唇を堪能する。

 煉魁がとても楽しそうに口付けしてくるので、琴禰も笑顔になった。

「俺の奥さん、これからもずっと一緒だ」

 琴禰を抱き上げて、煉魁は喜びに満ちた顔で言った。

「はい、ずっと一緒です」

 そして再び口付けする。

「それにこれからは猫の家族も増えますよ」

 琴禰が嬉しそうに付け加えると、煉魁の顔が曇る。

「どうして少し嫌そうなのですか」

「いや、そんなことないよ」

 不服そうな琴禰に、煉魁は素知らぬ顔で目を逸らす。

「力も補給されたし、帰ろう、俺たちの住む場所へ」

「はい!」

 琴禰は元気よく返事をした。
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