あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
 琴禰はまだあやかしについて知らないことが多すぎる。

 あやかしを神か何かと誤解しているような所があるので、今度あやかし国を案内して説明しなければいけないなと煉魁は思った。

「それより、父が挨拶に来いとおっしゃっているらしいが、どうする?」

「どうするも何も、行かないといけないでしょう!」

 琴禰は当然のことなので、驚いて言った。

「そうなのだが、何を言われるかわからないぞ」

 煉魁が危惧していることの意味が分かり、琴禰はしょんぼりと項垂れた。

「確かに。あやかし王が人間と結婚するなんて、お父親からしたら悪い意味で衝撃でしょうね」

「驚愕しすぎて病が悪化しないか心配だったのだが、挨拶に来いと怒っている元気があるようだから少し安心した」

「私は何を言われても大丈夫です。反対されても、もう結婚してしまいましたし」

 琴禰は薬指にはめられた指輪を見せて笑った。

「そうだな、もう何を言われてもどうすることもできないよな」

 煉魁も歯を見せて豪快に笑った。

 琴禰は気が弱そうに見えて、案外肝が座っているところがある。

 琴禰に背中を押された気がした。

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