あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
(どうして私は、こんなに力が強いのかしら。祓魔というより、まるであやかしのよう)

 疑問に思いながらも、もう悩む必要のないことなので、すぐに気持ちを切り替えた。

 人間だとしても、あやかしの方々は琴禰を受け入れてくれている。

 それだけで十分だった。

 宮中が近づいてくると、煉魁は顔半分を覆っていた黒布を、煩わしそうに外した。

「疲れましたね。久々にたくさん歩いたので、足が重たいです」

「ゆっくり湯に浸かるとしよう。もちろん二人で」

 煉魁は悪戯な笑みを浮かべた。

「ふ、二人で、ですか?」

「もちろんだ。よく足を揉んでやる。他の場所も念入りに」

「大丈夫です! 自分でできます!」

「遠慮するな」

 二人は相変わらず仲睦まじい様子で宮の大門に入っていったのだった。


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