あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
全て琴禰が名付けた。

 あやかし国には、動物を飼うという習慣がないらしく、最初は困惑されたが、今ではすっかり馴染んで可愛がられている。

 けれど、なぜか煉魁と猫たちは相性が悪いらしく、いまだに警戒されている。

 煉魁の力が強すぎるのが影響しているのだと思うが、猫と煉魁との微妙な距離感は見ているとなかなか面白い。

 煉魁の方は仲良くなりたいと歩み寄っているのだが、どうにも上手くいっていない。

 たまに、煉魁が猫に揶揄われているように見える時もあるので、琴禰は笑ってしまう。

 完璧な俺様王である煉魁を困らせることができるなんて、さすが猫様だ。

 最近、煉魁がちゃんと仕事をするようになったらしく、琴禰は臣下たちから感謝されていた。というのも、琴禰が、

『お仕事を頑張る殿方って素敵ですよね』

 と何とはなしに呟いたからだ。

 国を上げての盛大な結婚式をしてからは、さらに公務に意欲的になった。

 責任感が生まれたのか、はたまた琴禰に良く思われたいためか、よく分からないがやる時はやる男なのでとても頼もしい。

 琴禰も料理を一生懸命学んで、毎日立派な御膳を作っている。

 煉魁はもちろん、侍女たちにも好評なので、お菓子を作って配るなど大忙しだ。
< 220 / 227 >

この作品をシェア

pagetop