あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
(はわわわ、素敵……)
琴禰は目を奪われて恍惚に酔いしれた。
この世のものとは思えないほど美しい姿。飛ぶように空を駆ける者などあやかしの国でも珍しい上に、まるで体の一部かのように剣を自在に操れる者など一人しかいない。
皆が呆気に取られて、あやかし王を眺めている。
『さあ、これをやってみろ』と言われても、誰も真似できない。
あやかし王が地面に着地すると、割れんばかりの喝采が鳴り響いた。琴禰もつられて拍手を送る。
すると、煉魁は、遠くの拍手の音に気が付いたのか、練兵場の隅でこっそり見学していた琴禰に気が付いた。
目が合った琴禰は、慌てて物陰に隠れる。
「どうした、琴禰。こんなところにいるなんて」
一瞬のうちに煉魁は琴禰の後ろにいた。
「いえ、あの、練兵場にいると聞いて、差し入れを持ってきました」
振り返って、風呂敷に入れていた物を差し出す。
「差し入れ?」
煉魁は風呂敷を受け取ると、興味深そうにそれを眺めた。
「はい。おはぎを作ったのです。あやかしの調理器具では失敗してしまうことが多かったのですが、ようやくまともに作ることができまして」
琴禰は目を奪われて恍惚に酔いしれた。
この世のものとは思えないほど美しい姿。飛ぶように空を駆ける者などあやかしの国でも珍しい上に、まるで体の一部かのように剣を自在に操れる者など一人しかいない。
皆が呆気に取られて、あやかし王を眺めている。
『さあ、これをやってみろ』と言われても、誰も真似できない。
あやかし王が地面に着地すると、割れんばかりの喝采が鳴り響いた。琴禰もつられて拍手を送る。
すると、煉魁は、遠くの拍手の音に気が付いたのか、練兵場の隅でこっそり見学していた琴禰に気が付いた。
目が合った琴禰は、慌てて物陰に隠れる。
「どうした、琴禰。こんなところにいるなんて」
一瞬のうちに煉魁は琴禰の後ろにいた。
「いえ、あの、練兵場にいると聞いて、差し入れを持ってきました」
振り返って、風呂敷に入れていた物を差し出す。
「差し入れ?」
煉魁は風呂敷を受け取ると、興味深そうにそれを眺めた。
「はい。おはぎを作ったのです。あやかしの調理器具では失敗してしまうことが多かったのですが、ようやくまともに作ることができまして」