あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
琴禰を囲むように五人が星形に位置取り、指に(いん)を結んで、強大な結界を張る。

すると、琴禰の体はまるで縄で羽交い絞めにされたかのように動けなくなった。

 その拘束の力は強く、体がみしみしと締め付けるような痛みに悲鳴が上がる。

 まるで容赦がなかった。本気で琴禰を殺そうとしているのがわかる。

 五人衆の中には澄八もいた。桃子が両親の隣で澄八を心配そうに見守っている。誰も琴禰を心配して、止めようとする者はいなかった。

 両親や桃子は仕方がないにしても、澄八も琴禰を殺そうとしていることが悲しかった。彼だけは最後まで味方でいてくれるかもしれない淡い期待があった。

 けれど、琴禰を殺そうと術を発動させている澄八の目に戸惑いの色は微塵もなかった。

 祓魔師として、一族を守るため、それを害する者を葬り去る。そんな使命感に燃えるような目だった。

(私は……死ぬの? 誰からも愛されず、必要とされず、何もしていないのに疎まれて死ぬ。こんな死に方嫌だ)
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