あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
「す、すみません……」
琴禰よりも一個下の実の妹である桃子に叱られ、慌てて玄関前に戻った。
「本当、鈍くさい女ね。なにやらせてもまともにできないのだから」
桃子はこれみよがしに大きなため息をついた。
(おかしいな、ちゃんと綺麗に掃除したはずなのに)
琴禰は小首を傾げながらも反論せずに塵を掃いていると、頭上から大量の塵くずが降ってきた。
「ついでにそれも掃除しておいて」
桃子は笑いながら屋敷の中へ入っていく。頭から塵を被った琴禰は、コンコンと小さく咳をした。
すっかり汚れてしまったけれど、元から汚れていたので気にせずそのまま掃除を再開する。こんなことは日常茶飯事なのだ。
「大丈夫か? 頭が塵だらけだ」
また声を掛けられたので顔を上げると、和装の上から外套を羽織って、山高帽を被った背の高い男の人が心配そうに琴禰の顔を覗き込んでいた。
涼やかな眦に整った顔立ち。琴禰よりも六歳上のその青年は、澄八という。
琴禰よりも一個下の実の妹である桃子に叱られ、慌てて玄関前に戻った。
「本当、鈍くさい女ね。なにやらせてもまともにできないのだから」
桃子はこれみよがしに大きなため息をついた。
(おかしいな、ちゃんと綺麗に掃除したはずなのに)
琴禰は小首を傾げながらも反論せずに塵を掃いていると、頭上から大量の塵くずが降ってきた。
「ついでにそれも掃除しておいて」
桃子は笑いながら屋敷の中へ入っていく。頭から塵を被った琴禰は、コンコンと小さく咳をした。
すっかり汚れてしまったけれど、元から汚れていたので気にせずそのまま掃除を再開する。こんなことは日常茶飯事なのだ。
「大丈夫か? 頭が塵だらけだ」
また声を掛けられたので顔を上げると、和装の上から外套を羽織って、山高帽を被った背の高い男の人が心配そうに琴禰の顔を覗き込んでいた。
涼やかな眦に整った顔立ち。琴禰よりも六歳上のその青年は、澄八という。