あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
さらに目が悪いため、よく何かにぶつかるし物も壊す。眼鏡をかけているが、これはゴミの中から見つけた曾祖父が使っていたものらしいので度数が合っていないのだ。
両親は一族から無能が出たことを恥と思い、琴禰をまるで使用人のようにこき使い虐げていた。
(仕方ないわ、こんな無能。私は家族のお荷物ですもの)
妹との扱いの違いを嘆くことは諦めた。なにをやっても失敗ばかりで、自分でも嫌になるのだ。
「手を出して」
俯いていた琴禰は、澄八の言葉にきょとんとした表情で顔を上げる。
「え?」
「いいから早く!」
あたふたしながら、とりあえず右手を出す。爪先は黒く、あかぎれて痛んだ手の平の上に、透明の袋の中に入った色とりどりの金平糖が置かれた。
「甘いものでも食べて元気を出すといい」
「い、いただけるのですか⁉」
目を見開いて驚く琴禰に、澄八は「内緒だぞ」と唇に人差し指をかざして妖艶な笑みを見せた。
両親は一族から無能が出たことを恥と思い、琴禰をまるで使用人のようにこき使い虐げていた。
(仕方ないわ、こんな無能。私は家族のお荷物ですもの)
妹との扱いの違いを嘆くことは諦めた。なにをやっても失敗ばかりで、自分でも嫌になるのだ。
「手を出して」
俯いていた琴禰は、澄八の言葉にきょとんとした表情で顔を上げる。
「え?」
「いいから早く!」
あたふたしながら、とりあえず右手を出す。爪先は黒く、あかぎれて痛んだ手の平の上に、透明の袋の中に入った色とりどりの金平糖が置かれた。
「甘いものでも食べて元気を出すといい」
「い、いただけるのですか⁉」
目を見開いて驚く琴禰に、澄八は「内緒だぞ」と唇に人差し指をかざして妖艶な笑みを見せた。