あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
「嫌か?」
「いいえ、煉魁様。まだ動けませんので、これからしばらく厄介になっても宜しいでしょうか?」
煉魁は、ほっとしたように笑みを浮かべた。
「ああ。しばらくといわず、ずっと俺の側にいろ」
まるで愛の言葉のようで、胸がトクンと高鳴った。
きっと他意はない。親切心で言ってくれただけだ。
そう自分に言い聞かせるのに、煉魁があまりに優しい目で琴禰を見つめるので勘違いしてしまいそうになるのだ。
(この方が、倒さなければいけない宿敵だなんて)
自分の運命を呪う。
命の恩人に、親切を仇で返すようなものだ。
「さあ、食え」
匙を口元に寄せられたけれど、唇が震えて開くことができなかった。
「すみません。ちょっと疲れてしまって、もう食べることができそうにありません」
「おお、そうか。少し喋り過ぎたな。さあ、横になれ」
煉魁は琴禰の肩を抱き、横にさせると布団をかぶせた。
「ゆっくり眠るといい」
煉魁から背を向けて、ぎゅっと目を瞑った。
胸が痛い。
優しくされればされるほど、胸の痛みは強くなる。
急激な心労のせいか、再び眠気が襲ってきて、琴禰はそのまま眠りに落ちた。
安らかな寝息が聞こえると、煉魁は愛おしそうに微笑んだ。
「いいえ、煉魁様。まだ動けませんので、これからしばらく厄介になっても宜しいでしょうか?」
煉魁は、ほっとしたように笑みを浮かべた。
「ああ。しばらくといわず、ずっと俺の側にいろ」
まるで愛の言葉のようで、胸がトクンと高鳴った。
きっと他意はない。親切心で言ってくれただけだ。
そう自分に言い聞かせるのに、煉魁があまりに優しい目で琴禰を見つめるので勘違いしてしまいそうになるのだ。
(この方が、倒さなければいけない宿敵だなんて)
自分の運命を呪う。
命の恩人に、親切を仇で返すようなものだ。
「さあ、食え」
匙を口元に寄せられたけれど、唇が震えて開くことができなかった。
「すみません。ちょっと疲れてしまって、もう食べることができそうにありません」
「おお、そうか。少し喋り過ぎたな。さあ、横になれ」
煉魁は琴禰の肩を抱き、横にさせると布団をかぶせた。
「ゆっくり眠るといい」
煉魁から背を向けて、ぎゅっと目を瞑った。
胸が痛い。
優しくされればされるほど、胸の痛みは強くなる。
急激な心労のせいか、再び眠気が襲ってきて、琴禰はそのまま眠りに落ちた。
安らかな寝息が聞こえると、煉魁は愛おしそうに微笑んだ。