あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
途端に、胸の奥がドクンと高鳴る。澄八の整った顔は、色香を芳醇に引き立たせる。
眩暈がするほど妖しい色気に、ただでさえ優しくされたことのない琴禰にはいっそ毒だった。
澄八は桃子と同じように屋敷の中へ入っていく。その背中を見送ると、胸がズキリと痛んだ。
(結婚の日取りでも決めるのかしら)
近々、澄八と桃子は結婚する。親同士が決めたことではあるが、桃子は幼い時から澄八を慕っていたので大喜びだった。
美しく、祓魔の力も強い二人は、絵に描いたようにお似合いの男女だ。そこに琴禰が立ち入る隙なんてあるはずもない。
こうして胸を痛めることですら、分不相応でおこがましいことだと自嘲する。
琴禰は祓魔一族の中でも指折りの名家の生まれだ。
帝都から遠く離れた山村に祓魔一族は住んでいるが、それは自然多い中の方が力を使いやすいためで、国の中でも上位に入るほどの財閥だ。
眩暈がするほど妖しい色気に、ただでさえ優しくされたことのない琴禰にはいっそ毒だった。
澄八は桃子と同じように屋敷の中へ入っていく。その背中を見送ると、胸がズキリと痛んだ。
(結婚の日取りでも決めるのかしら)
近々、澄八と桃子は結婚する。親同士が決めたことではあるが、桃子は幼い時から澄八を慕っていたので大喜びだった。
美しく、祓魔の力も強い二人は、絵に描いたようにお似合いの男女だ。そこに琴禰が立ち入る隙なんてあるはずもない。
こうして胸を痛めることですら、分不相応でおこがましいことだと自嘲する。
琴禰は祓魔一族の中でも指折りの名家の生まれだ。
帝都から遠く離れた山村に祓魔一族は住んでいるが、それは自然多い中の方が力を使いやすいためで、国の中でも上位に入るほどの財閥だ。