あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
祓魔はあやかしに対抗する唯一の力を持っている。あやかしとは、奇怪で異形な姿をした人ならざるものだ。

 彩雲の上に住んでいて、天界から災いを振り落とすという。地震や干ばつ、火山や台風など、ありとあらゆる厄災をもたらす。

 魑魅魍魎の小さいあやかし程度なら祓魔の力で払えるが、あやかしの頂上に君臨する王だけは祓魔一族総出で戦っても勝つことはできない。

 あやかし王を倒し、人間界に平和と安穏をもたらすことが祓魔一族の宿望なのだ。

 そんな一族の中に、無能が生まれた。これは何百年と続く祓魔の歴史の中で初めてのことだった。

 長い歴史の中で祓魔一族は何百人もの大所帯となった。一族とはいえ、もう立派な村を形成している。

その中で無能を生み出した家ということで、灰神楽家は名家の肩書を失墜しかけていた。

 そこで、同じく名家で、同年代の中で右に出る者がいないほど祓魔の力が強い澄八と、美人で祓魔の力もしっかりと持っている桃子の婚姻によって灰神楽家は再び栄華を取り戻そうとしているのだ。
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