あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
 むしろ、断ること自体が不可能なほどの絶大な権力だ。

 琴禰も例にもれず、煉魁に惹かれている。多少強引なところでさえ彼の魅力だ。

 ただ、琴禰にはやるべきことがある。

 やらないという選択はもはやできない。

「煉魁様にお願いがあります」

 琴禰は拳をぎゅっと握った。

「なんだ? 琴禰の願いなら、何だって叶えてやる」

 煉魁は頼まれることが嬉しいのか、満面の笑顔を見せていた。しかし、その後に続いた琴禰の言葉を聞くと、さすがの煉魁も驚きに言葉を失った。

「私と結婚してくれませんか?」


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