あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
  皆は顔を見合わせて、よく分からないまま拍手が巻き起こり、煉魁はとても満足気だった。

「あの、あやかし王、お相手はどちらの御方でしょう?」

 大臣(おおおみ)がおずおずとした面持ちで聞いた。

「人間だ」

 途端に、ザワリとした嫌な空気が場に漂う。

「あやかし王が先日拾ってきた、あの人間ですか?」

「そうだ」

 顔面蒼白になっている大臣に、煉魁は笑顔で頷く。

「反対です!」

「人間は駄目でしょう」

 周りから次々と異を唱える声が上がる。

「なんだよ、お前ら、誰でもいいから早く結婚しろと言っていただろう!」

 急に猛烈な反対に合ったので、煉魁は皆を指さして声を荒げた。

「人間は種が違うでしょう」

「何を血迷ったことをおっしゃいますか」

 いつもは煉魁の暴君ぶりを受け流している臣下達も、この件に関しては真っ向から反対してくる。

「ああ、うるさ~い!」

 煉魁は止まぬ反対の声を大声で制した。

「俺が結婚するって言ったらするんだよ。わかったな!」
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