あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
初めて宮中を出る琴禰は、少し不安だった。

 あやかしの方々からよく思われていないことは知っていたし、初めての場所は、やはり少し怖い。

 そんな琴禰の気持ちに気が付いた煉魁は、宮中を出ると琴禰に手を差し出した。

「俺が付いている。何も心配することはない」

 頼もしい煉魁の言葉に、心が和らいでいく。

 緊張しながら煉魁の手にそっと触れると、煉魁は迷いなく手を絡ませた。

 まるで付き合いたての恋人同士のようだと琴禰は思った。

胸の奥がむず痒くなる。煉魁の隣にいられることが嬉しく、自然と笑みが浮かぶ。

「体調は大丈夫か?」

「はい、大分良くなりました」

まだ完全に祓魔の力は復活していないが、半分程度は回復していた。

「このまま手を繋いで、ぶらぶら歩いていたい気もするが、連れていきたい場所は少し遠いから、飛ぶぞ」

「え?」

煉魁は琴禰をひょいと横抱きにすると、文字通り飛んだ。

(ええええ!)
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