あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
晴れて夫婦となり、宮中の宮中に戻った二人と遭遇した者達は、口をあんぐりと開き、呆れるような驚きの顔を見せた。

「やりましたな、あやかし王」

 呆れたような目で声を掛けてきた大臣に対し、煉魁は素知らぬ顔で返す。

「なんのことやら」

 しっかりと琴禰の肩を抱き、宮中を歩く。

「あやかし王~、大王には何と伝えるのですか⁉」

 二人の後ろを追いかけるようにしてやってきた秋菊が、息も絶え絶えに聞いた。

 怠慢な様子で後ろを振り返った煉魁は、足を止める。

「容態が悪化したら大変だから、しばらく内緒にしておいて」

「しばらくっていつですか⁉ 見ればすぐ分かりますよ!」

「うん、だから、しばらく会わないでおくわ。適当に理由言っておいて」

「困りますよ~」

 泣きつくように言ってくる秋菊に背を向けて、再び歩き出す煉魁。

 隣で聞いていた琴禰は、不安気に煉魁を見つめる。

「あの、大丈夫なのでしょうか?」

「大丈夫だ。琴禰は何も心配しなくていい」

 そう言って煉魁は、琴禰の額に口付けを落とす。

 あやかし達に見られたので、琴禰は真っ赤になってしまった。
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