あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される
「何をやっている」

「煉魁様! おかえりなさいませ」

 声を掛けられた琴禰は、振り返ると満面の笑みを見せた。

(俺の嫁は可愛すぎる)

 琴禰から後光が放たれているように見えた煉魁は、思わず目を細める。

「休んでなくて大丈夫なのか?」

「はい、なんだか体が軽いのです。少しずつ力が戻ってきているようです」

 儚げで憂いを帯びた表情の琴禰だったが、光が差したかのように元気になっていた。

 内側から輝くような笑顔は、とびきり可愛い。

 煉魁は琴禰をぎゅっと抱きしめて耳元で囁いた。

「俺に抱かれたからではないか?」

 途端に、琴禰の顔がボッと火がついたように赤くなる。

「俺の力が琴禰に送り込まれたのかもしれない」

「なるほど、そういうこともあるのですね」

「では、毎晩送り込まねば。琴禰の健康のために」

「れ、煉魁様!」

 琴禰は顔を赤らめながら、煉魁の胸に頭を押しつけた。あまりの可愛さに、煉魁の頬が緩む。しかしながら、別の懸念も内に秘めていた。

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