好きなのは、嘘じゃない。
恋は、綿菓子のように甘いって
恋愛小説に書いてあったけれど、
それは違う。
片想いは楽しいっていうけれど、
そんなのだって嘘。
好きになって、フラれて…
__「…俺が好きだって言ったらどうする」
いいや、違う。
こんな甘いものじゃない。
それにしても、
色素の薄い髪の毛がよく目立つな、あいつ。
私よりもずっと綺麗じゃない?
「じゃあ、この問題を月沢」
まるで、自分の名前を呼ばれたみたいに
ドキッと心臓が嫌な音を奏でた。
「x=5」
指された当本人は、動揺する素振りもなく
黒板を一切見ないでさらっと答えを言う。
そうだ、咲夜って頭いいんだっけ。
私よりもずっと成績よかったんだ。
つくづく思う、咲夜には敵わない。
私も、授業に集中しなきゃと思い
咲夜から目を離そうとした時
横目で一瞬、咲夜と目が合った。
なに見てるんだよ、と言いたげそうな顔。
「…なにも見てないし」
私はぼそっと
咲夜に聞こえないように言った。
咲夜が変なこと言うからじゃん
あーあ
今日がエイプリルフールでよかったよ。