好きなのは、嘘じゃない。
覚悟を決めて、私は
着信ボタンを押す。
「…もしもし」
いつもだったら、もっと早くに
押せたはずなのに。
「ごめん、いきなり」
スマホを耳に当てると、
心臓が持たない気がして
スピーカにした。
咲夜と電話することは結構あったのに…
「全然大丈夫!私、暇人だしさぁ」
…あれ、私いつもどんな風に
咲夜と話していたっけ?
ふっと咲夜の笑い声が聞こえた。
「好きだよ、春」
「…え」
好きだと言うのは、いつも私ばかりだった。
それが通じあったことは1度もない。
好きだと言われたのは
今、初めて。
意地悪で、いつも私をバカにしてくるくせに
「え、じゃねーよ」
「だって…」
好きは、甘かった。
「エイプリルフールのネタばらし」
「…私は、咲夜のこと嫌い」
今日は、エイプリルフール
時刻は20時30分
「は?!」
いつもの意地悪をやり返してあげる。
だから、嘘だよって言うのは
あと少しのお話。