素直に気持ちを言えたなら

 練習試合、終わっちゃったかな。


 少し早めに部活を切り上げて、彼の応援に行くつもりだった。


 けれどなんだか筆が乗ってしまって、楽しく描いているうちに遅くなってしまった。


 慌てて体育館に来てみれば、ちょうど試合をしているようで、ギャラリーが賑わっていた。


 春休みでももちろん友人の彼女は先輩の応援に来ている。アクティブだ。


 彼の姿を探して、きょろきょろと視線を彷徨わせる。


 あ!いた!


 ちょうど彼にボールが渡ったところだった。けれど相手の選手に阻まれ、身動きが取れなさそうだ。


 私は思わず、大声で呼び掛けていた。


「はるー!!がんばれーーっ!!!」


 私の応援に意味があったかは分からないけれど、彼はくるっと軽快にターンして、そのままシュートを決めてしまった。


 すごい!


 彼は私の方を振り返って、にっと笑ってVサインを出した。


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