前世へのレジスタンス
彼は頭をくしゃくしゃと掻き、そして数秒たったあと少し意地悪そうな顔をして答えた。

「仲良くなったら教えるよ」

なんて面倒な人だろう。
素直に教えれば良いはずなのに。

「それでしたら結構です。失礼します。」
「おい!」

掴まれていた手が離れた一瞬のすきに私は通学路を再び歩き始めた。
おかしな人、不思議な人だったなぁと思いながら右耳にまたイヤホンをつけた。
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