前世へのレジスタンス
「もしもし。」
「バイトお疲れ様。」
「そっちこそ、お仕事お疲れ様。」
金井くんとの電話。
なかなか学校に行けなくてごめん、と電話越しに金井くんが謝ってくるけど、そんなこと金井くんが悪いわけじゃないし…と思いつつも、早く会いたい思いが日に日に募る。
「最近、声が明るいよね」
「え、なんで」
「分かるよ。好きな人の声なんだよ。」
電話越しでも、顔が見えていなくても私の中の何かをいつも感じとってくれる。
あの体育の日以来、神崎さんのおかげで一人でいることがなくなった。
小春って呼んで、と言われたけどなかなか言いずらくて”小春ちゃん”と呼んでいる。
小春ちゃんの周りは流石といった感じでクラスの成績上位組がいつも一緒にいる。
桜庭あおいちゃんと二階堂みおちゃん。
4人で休み時間を過ごしたりすることが増えた。
私も受験組になったから、よくバイトまでの時間は放課後一緒に勉強したりしていた。
「3人がいてくれるから、毎日が楽しい。」
「その声が聞けて、僕も嬉しいよ。」
気づくと夏の暑さも消え、少し涼しくなった。
もうすぐすれば徐々に世の中は少しずつ寒くなって冬を迎えるだろう。
「もうすぐ、学園祭だね。」
「そっか。最後の行事なんだね。」
季節が移り変わっていく。
時は進んでいく。