前世へのレジスタンス

「ごめん、やっぱり、…でも、…みおが好き。」

私は驚きつつも呼吸音さえ聞こえないように、必死に冷静さを保つ。

「みんなで一緒にいたいのに、自分が段々抑えられなくなってて、…」
「それはあおい次第だよ。2人がどんなことになろうと、私は、あおいもみおも、もちろんカナちゃんも、4人でいられるようになんでもしたいよ。」


私は知ってる。
時に恋愛はその関係全てを壊してしまうものだと。

出来ることならば、私はあの楽しかった4人でいたかったよ。
でも人を好きになる気持ち、ある一線を超えた瞬間に今までどんな信頼関係を築いていようが、一瞬で崩れ去るんだ。

私にはあおいちゃんにもみおちゃんにも口出しする権利は無い。
流れかもしれないけど、私はセイから距離を取った。
2人はどんな選択をするんだろう。
静かに見守っていようと思った。





『なんか元気ない?』
『そんなとこないよ。』

もう日付が変わっていた。
毎日の日課になっている、金井くんとの電話だ。
心地よい声がBGMみたいに、私は勉強が何となく捗っていた、はず。

『ずっとこのままって、きっと難しいんだろうなって思った。』
『カナ、何か悩んでるの?』
『あ、私じゃないよ。…でもそういうの考えちゃって』
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