前世へのレジスタンス

あの時どういう選択を、どう接していれば、あのままでいられたんだろう。
人を好きになった今だからわかる。
理屈とかそんなの恋愛においては存在しなくて、正解もなくて、ずっと自分の中で模索し続けるものなのだと。


『僕は、カナと出会えてよかったよ』
『何、急に』
『本当のことだよ』

急にそういうこと言うんだから…

照れつつ、話に耳を傾けた。

『もしカナと付き合えていなかったとしても、僕は想いを伝えたことに後悔はしないかな。』
『なんで。』

『こんなに素敵な人を好きになれたって、誇りに思えるから。』

真っ直ぐで、真っ直ぐすぎるくらいの言葉だ。

凄く嬉しい…


『何かが変わろうと、無駄なことなんて何一つないと思うんだ。全てが今を生きる僕の力になると思ってる。』

力強すぎるくらいの言葉だ。
私はそんなこと思ったことがなかった。

小さかった頃の記憶は、全て消してしまいたい。
正直思い出したくもない過去だった。

『僕も嫌だったこと、辛かったことが全くなかった訳じゃないし、だけどそれがなかったら、今こうしてカナとも出会えていないと思うんだ。』


嬉しい言葉だ。
こんな私と出会えたことを、嬉しいと言ってくれる人がいる。
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