前世へのレジスタンス
私の目の前の席。
沢山の女子のキラキラした瞳が彼一点に集中している。


クラス替えの表を見てセイと同じクラスになれて安堵したのもつかの間。
朝礼チャイムギリギリで朝少し話した美形の顔をした彼が教室には急ぐ様子もなく入ってきた。
チャイムがなったというのに、他のクラスからも彼を人目見ようと廊下には沢山の生徒たちが集まっていた。

そして座ったのは私の前の席。
私は必死に気配を消そうと机に伏せるが、あっけなく彼に気づかれてしまった。

「黒…」
「はい、席に着いてー」

彼が話しかけようとした声を遮るようにタイミングよく新しい担任が教室へと入ってきた。
気づくと廊下に集まっていた生徒たちも自教室に戻ったらしく、あたりは少し静かになっていた。

机の下でスマホを見ていると、少し離れた席に座っているセイからメッセージアプリにメッセージが届いていた。

『転校生と知り合いなの？』
『今日の朝話しかけられた』
『なんて？』
『私を救うらしいよ』
『は？なんだそれ』
『意味わかんないよね』

セイは少し後ろを振り返り、私の方を見て少しニコッと笑った。
私も何となく微笑み返した。


何かから私を救ってくれるなら、その時はセイに助けてもらいたいとなんとなく思ってしまった。
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