前世へのレジスタンス
そんなに大きくない学校だ。
大体の生徒の名前はなんなく分かっている。
それなのに毎年恒例かのように自己紹介が始まる。

目の前の人の名前は”金井 ヒロト”というらしい。
ハキハキとした話し方、明るい金よりの茶髪は地毛らしく、それと相まって顔も同世代に比べたらレベルが違うくらい良いだろう。
身長も多分セイよりも高い。
足も雑誌で見るモデルみたいに長い。

他の人の自己紹介そっちのけでクラスの女子の視線は彼へと向けられる。
というよりも吸い寄せられる、といったほうが近いかな…


「はい、じゃあ次お願いします」
「…あっ、はい」


そしてそんな人の次に自己紹介するこっちの身にもなって欲しい。
まぁほとんどの人は聞いていないだろうけど。

「黒崎、カナです。よろしくお願いします。」

私はボソボソと名を名乗り素早く席に着いた。
あまりの愛想の悪さにだろう、グチグチ小声で何かを言っている声が聞こえる。
そんなこともお構い無しに私は机に伏せた。
正直眠い。
春休み中のバイトの疲れが溜まって限界を迎えたようで、そのまま寝ようと…

「カナちゃん」

「…っは？」

目の前の人に起こされた。
いや、正確には寝てなんていないから最初から起きていたけれど。

というか、急にカナちゃんってなんだよ。
と心の中で少しイライラする。
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