前世へのレジスタンス
この学校は私情に対してかなり融通が効く。
金井ヒロトが所属しているアイドルグループはどうやら全国ツアー中らしい。
クラスの女子生徒が口々に言っていた。
『チケット取れなかったー』
『どうせなら同クラだからコネで入れたかも』
改めてあの人が凄い人なんだと思わされた。

「黒崎さん」

ほんのりピンクブラウンに染めた髪の毛。
ふんわり柔らかとした印象で、良いところのお嬢様みたいな見た目だ。
こんな子、うちのクラスにいたっけ…


「1年生の時同じクラスだったんだけど、覚えていないかな?」
「ごめん。分からない。」

私は素直に答える。
正直クラスの人の名前とかほとんど覚えていない。

「私、桃井エリナって言います。黒崎さんと少しお話したいのだけれど、大丈夫?」
「今昼休みだし、…教室出ようか」

トイレから戻ってきたセイとすれ違い、『ちょっと行ってくる』と言って、私は桃井さんと教室を出た。


桃井さんはどうやら男子人気があるみたいだった。
廊下を二人並んで歩いていたけど、たくさんの視線を感じた。
彼女のオーラもまた金井ヒロトとは違っていたが人を引きつけるものがあるのだろう。

新学期2日目で、2日とも呼び出しを食らうとは、
私はなにか運が悪くなることをしたのだろうか。


ちなみに昨日は殺されるとか脅されるし。
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