前世へのレジスタンス

少し涼しい外に出て、校舎を出て自転車置き場の隅に寄る。
若干海が見える。
昨日のことが幻みたいに、海をみつめいていると金井ヒロトのことをなんとなく思い出していた。
あまりにも今まで生きてきた世界にはいなかった存在が私の視界に入り込んできたからこそ感じた不思議な違和感がある。

「あの、突然話しかけてごめんね」
「ううん。それで何？」

桃井さんは少し緊張した面持ちで私の方を見て少し小さな声で呟くように話した。

「私、青沢くんのことが好きなの。」


なんだ、セイのことか。
本人に直接言えば良いのに。
でもまさか、このお嬢様みたいなタイプがセイみたいなちょいグレな感じに好意を抱くとは。

「であの…」

桃井さんは前で重ね合わせていた手をギュッと握り、勢いよく早口で私こう言った。


「黒崎さんと青沢くんは、そ、っそのっ……お付き合いしてるのかしら……！！」



「っはは…くくっ」
「え！？何！？」
「ごめんなさい。…っまさか、セイ……」

どうやら勘違いされていたみたいだ。
私の反応に自分の勘違いだと気づいた桃井さんは両頬を手でおさえ、驚きを隠せない様子だ。


「私の、勘違いでしたね。…すみません。」
「いいよ、別に。…逆になんでセイなの？」