前世へのレジスタンス
明らかに釣り合っていないだろうと、私は疑問に思い桃井さんに質問した。

「それが…、一目惚れだとは思うんです。」

語尾に引っかかる。
私はその言葉に違和感を感じつつ、桃井さんの話に耳を傾ける。

「でも1年生の時、確かにそれは一目惚れだったんですけど。…初めてって感じがしなかったんです。」
「初めてじゃない…？」
「今までの同級生に青沢くんはいません。何度も卒業アルバムを見ました。それなのに、なぜか昔から知っている気がするんです。」

稀に赤ちゃんの頃の記憶があるという子がいるというのは聞いたことがあるけど。
そんなことより、

「セイのこと好きなんでしょ？」
「あ、はい！」
「まぁ何か出来ることがあったらするよ」
「本当！？ありがとうございます、黒崎さん！」

桃井さんは両手で私の右手を掴むと、ぎゅっと握って腕をブンブンと振った。
お嬢様に見えて意外と人懐っこい部分があるのだなと思った。
その中にも品があるのが垣間見える。

「早速質問良いですか？」
「うん、何？」

「青沢くんは何が好きなのか、知っていますか？」
「…うーん」

そういえば、私はセイのことを…
よく知らない。

「わ、分かったらで良いですから！…もうすぐ授業だから急ぎましょう」


少し気を使わせてしまった。
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