前世へのレジスタンス
目の前の女の顔がどんどん青ざめていく。
目からは光が消え、口を馬鹿みたいに開けて、目には血眼が走る。
そしてぶるぶると震えながら両手で自分の顔を覆いながらその場に崩れ落ちる。
広場からの歓声が聞こえてくると共に、ドタドタと駆けてくる音がする。
もう覚悟するしかない。
女が大声で叫ぶ。
見るも無残な光景だ。
私は向けられた鋭い刃物を真っ直ぐ見つめる。
もう後戻りはできない。
私は目を閉じた。
頭の中で巡ったのは、あの人だった。
『生まれ変わったら、一緒になりたい。』
『生まれ変わらなくても、僕は君の隣にいるよ。命に変えても。』
どうやら私はあの人を嘘つきにしてしまう運命みたいだ。
私の胸部を勢いよく剣が突き抜ける。
命に変えても一緒にいてくれると言ってくれたのに、どうやら私の命が先に終わってしまうようだ。
さよなら。
どんどん意識が遠のく。
もう自力で立っていることなんて出来ない。
二発、三発とどんどん私目掛けて剣が突き刺さる。
血飛沫が辺り一面に拡がっていく。
私は静かに目を閉じた。