前世へのレジスタンス
青沢セイ。
私の人生の中でいちばん近くに居てくれた存在。
私は少なくともそう思っている。
そんな近くにいた存在を私は何も知らなかった。

思えば自分のことを話しているところを見たことがなかった。
あの施設に私より先にセイは入っていた。
だからなのか、周りの人達からもセイはどんな子で、どういう理由で施設にいるか、聞いたことがなかったんだ。
暇な時は自分のために何かをしているわけではなく、小さい子達の面倒を見たり、タカコさん達 大人の手伝いとかをしている印象だ。

学校では別に普通。
誰かと仲が悪いなんてないし、見た目が少し青髪に染めて派手に見えるだけで。



「カナ、」
「…」
「カナ？」
「…」

「カナ！」
「あっ、何。」


下校中、私はぼーっとしていた。
セイが何度か名前を呼んでくれて気づいた。

「何か考え事か」
「うん。」

私は何もこの人のことを知らないんだな。
不意に目が合って私は自分の知らなさに、今まで過ごしてきた時間の過ごし方を少し反省した。

「何？」
「セイのこと考えてた。」
「え？」

どうせなら私もセイのことを知って、そしてついでに桃井さんに教えてあげよう。
セイのことを。


「私、セイのこと何も知らなかった。知りたい。」


セイは少し驚き固まった様子を見せた。
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