前世へのレジスタンス
新学期が始まり、2週間が過ぎた。
私の目の前は久しぶりに視界が悪い。
それもそのはず、金井ヒロトは全国ツアーが終わったらしく、学校に復帰していた。
ある意味、彼の姿があるだけで授業中に多少の仮眠が取りやすくなるので私にとっては好都合だ。

それからというもの、彼は毎日毎日特に用がなくても私に声をかけてきた。
そんな人は今までセイくらいだったから、珍しすぎてなんだか少し気味が悪かった。
それと同じくらい、いやそれよりも変な目で見てくる女子生徒の視線が特に痛々しかった。
その度に彼が笑顔を振りまいて場を落ち着かせるのが、毎度恒例といった感じになっていった。




「いや、てかさ…」

ある日のお昼休み。
そういえば数日間この光景が増えていた。

「いつからお前らいた！？」

気づくと私とセイの2人でお昼ご飯を食べていたのが、金井くんとエリナちゃんも含め4人で食べるようになっていた。
スーパースター・学校一の美少女・ちょいグレ男子生徒・ただの陰キャ女子
傍から見れば異様な光景だ。
金井くんはいつも通り図々しい感じでやってきて、エリナちゃんは今までの仲良しメンバーがクラス替えで離れたらしく、なんとなく流れで一緒にいるようになった。
< 22 / 107 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop