前世へのレジスタンス
私は泣き止むと、冷静になったみたいで、物事を整理し始めた。

「やっぱり付き合うのは、無しにしましょう。」
「え!?」

私が世の中を知らないだけで、この人は大スターなわけで、もし付き合ったのがバレて、そうなったら週刊誌…マスコミ…


「色んな事を考えると、金井くんへのリスクが多すぎるので。あと、あんまり昨日みたいに遊んだりするのもよくないと思います。もしかしたら今の活動に…」
「頭固すぎ!」

金井くんは私の頭をポンッと撫でながら、笑いながら私の言葉をさえぎった。
こういうのがダメなんだって!


「言ったでしょ。…僕は君を救うためにここに来たって。」
「じゃあ、金井くんはどこか別の世界の私が好きなんでしょ。ならここにいる私なんか」
「僕は今ここにいる君が好きだよ。」


もらった言葉をどう頭で処理していけば良いのか、私の脳内はパンクしそうだ。

「未来を知っているから、もう失いたくない。…離れたくないんだ。」
「…っ」


視界がだんだん暗くなる。
私はぎゅっと目を瞑ると同時に、唇が触れ合った。

昨日セイからされたのとは違って、優しくて、どこかで懐かしい何かを思い出すような


「付き合ってください」
「…はい」

私は何かに押し負けるように、差し出されたその手を握った。


朝礼の予鈴が鳴る。
2人で顔を見合せて、カバンを持ち焦りながら屋上を出た。
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